学校評価アンケートの設問はどう組み立てるのがベスト?ポイントは“グルーピング”

この時期多くの学校で実施される「学校評価アンケート」。

 

何を聞いたらいいの?

どんな風に組み立てたらいいの?

他校はどうしているの?

 

とお悩みの先生方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

今回はアンケート設問の「組み立て方」に注目していきます。

 

目次

step1|まずは設問の洗い出し

step2|洗い出した設問のグルーピング

step3|設問の組み立て

 

step1|まずは設問の洗い出し

そもそも学校評価におけるアンケートは、PDCAサイクルでいうところの「C:チェック」にあたります。

「P:計画」を立てて「D:実行」した事が、回答者にとってどうだったのかを「C:チェック」するためにあるのです。

例えば近年であれば、多くの学校で「感染症対策」や「ICT化」,「オンライン授業」など、これまでにない取り組みがあったのではと思います。

定例的に聞きたい設問だけではなく、こうした新しい取組に関する設問も加え、まずは思いつく限りどんどん洗い出していきましょう。

 

この際、”回答する人にとってわかりやすい言葉”を選ぶように心がけてください。

 

step2|洗い出した設問のグルーピング

次は、洗い出した設問のグルーピング作業です。

例えば「生活」「安心安全」「衛生」「部活動」「授業」「ICT」…などの項目(グループ)を作り、先ほど洗い出しておいた設問を振り分けていきます。

 

この際、同じような内容の設問が洗い出されてきますので、こうしたものは統合して整理しながら進めます。

尚、整理していくうちに分類ごとの偏りが見えてくるかもしれませんが、この段階では気にせず進めていきましょう。

 

step3|設問の組み立て

グルーピングが出来たら、最後は組み立てです。

まずはアンケート全体の設問数を決めておき、そこから逆算する形で各分類からバランスよく設問を選んでいきます。

 

次に、選んだ設問を”グループごと”にまとまるように並べていくことで、「回答者しやすいアンケート」が完成します。
(例:グループ1-1,1-2,1-3,グループ2-1,2-2…)

 

いかがだったでしょうか。

 

学校評価アンケートの結果(フィードバック)は、必ず学校運営のヒントになります。

アンケート作りは正確なフィードバックを得るための重要なポイントですので、ぜひ参考にしてください。

正確なフィードバックが得られるアンケート設問って?3つの注意点

学校評価や授業評価に限らず、正確なフィードバックを得るためには、アンケートの設問文がとても重要です。

今回はその「設問文」に注目していきたいと思います!

 

step1|回答者に伝わることば選びをする

step2|人によって解釈の異なる聞き方をしない

step3|文章は簡潔に!

 

step1|回答者に伝わることば選びをする

アンケートを理解して、正確に回答してもらうためには、回答者が「理解できる」言葉で設問文を作る必要があります。

当たり前のようですが、意外と回答者の属性をしっかり想定せず、業界用語や難しい言葉を盛り込んでしまっているケースを多く目にします。

例えば教育現場において「GIGAスクール構想」といえば誰もが知っている言葉ですが、だからと言って保護者対象のアンケートに盛り込むのはお勧めしません。もちろん理解頂ける方もいらっしゃいますが、そうでない方も。

このように、”回答者が理解できない可能性のある業界用語”はなるべく入れない方が良いでしょう。

 

step2|人によって解釈の異なる聞き方をしない

皆さんは“最近”という言葉から、何を想像しますか?

「2日~3日」と答える方から「1か月~3か月くらい」と答える方まで様々ではないでしょうか。

このように”人によって解釈の異なる言葉”の使用はNG

回答者が何に対して答えたのかが判らず、結果としてフィードバックをどう活かせばいいのか見えにくくなってしまいます。

この例であれば、「過去1か月の間」「2学期の間」などと具体的に示した方が、より改善活動に繋げやすいフィードバックを得られることになります。

 

step3|文章は簡潔に!

無償で回答いただくアンケートにおいては、回答者の負担感をなるべく低くする配慮が必要です。

1問1問設問内容の理解に時間が掛かるアンケートを作ってしまった場合、疲れて途中で回答を中断してしまう人も。

丁寧な説明や言い回しにとらわれ過ぎず、回答者がすぐに理解できるような短文で構成することも重要です。

 

今回は設問文を作るにあたっての注意点を3つ上げてみました。

是非、参考にしてみてください。

授業評価の活用方法

こんにちは!IKISAKI情報局です。

 

IKISAKI情報局では以前の記事で、株式会社エデュ・フィールド 代表 光延栄治氏にご協力いただき、「学校評価の活用方法」についてお送りしておりました。

今回の記事では引き続き光延栄治氏にご協力いただき、授業評価の活用方法についてをお送りいたします。

授業評価の活用方法について、ご参考になる箇所があれば幸いです。

 

 

 

前回の要点~実際の活用方法=授業診断がもたらすもの:その軸のベクトル

前回の学校評価と同様に、「授業評価」の意義についても、初夏に3回シリーズで述べさせて頂きました。

そこでは、授業に於いて「絶対的な評価」など存在しませんが、時代の変化の中で学びの品質を保全する為に、教員の人格や人間性・職業適性の評価から切り離した純粋な「技能評価」の必要性を申し上げました。

さらに、その中でレディネス/ICT活用などを表面的に図るだけではなく、「生徒自身の未来に何をもたらすか」ということを軸にすべきであると提案させて頂きました。

しかし、その活用において、「学校評価」と大きく異なるのは結果の開示に関して慎重であるべきことです。

その意味では「生徒自身の未来」のみならず、開示対象たる「教員自身」の未来に何をもたらすかを考えて、活用を考えていくべきかと思われます。

前回記載申し上げたことを踏まえると「個人に対して支援、集団に対して問題提起と注意喚起」「追い込みではなく、業務改善をサポート」ということが、授業評価の活用における真の「軸」であると思うのです。

 

 

 

武器ではなく、「時代に合った指導=改善促進」を行うための材料として

実際に「非常勤→常勤」の昇任への活用に授業評価を使っておられるケースが有りますが、これは本当に適切な使い方なのでしょうか。

もちろん、授業力が一定具わっていないと常勤、ひいては専任としての業務に注力する余裕が覚束ない、あるいは指導教員が十分に機能していないので「誰を残すか」という統一指標が必要など学校毎の事情もあろうかと思います。

ただ、本来は担任業務をはじめとした校務全般、そして組織への適応性など授業力以外の部分をきちんと見ていく必要があるように思われます。

やはり、上記のようなケースに限らず、管理職・指導教員との面談の際の一材料として、当該若手/中堅教員のセールスポイントを拾い上げることを主眼に「授業評価」を活用して頂ければ幸いです。

また、そうしたことを継続的に行う場合、「授業評価」を読み取って、課題抽出と指導を重ね、結果の変化の濃淡を見据え、「授業課題の克服に対して、硬質か軟質か」を見極めるという事も有効かと思います。

この時、「成長する気が無い」と断ずるのではなく、「変わらない部分は変わらない」として、責めるために使用するのではなく、得意項目を見つけて新たな可能性を手繰るように指導することが望ましいと思われます。

「こういう時代」ですので、教員間の指導の在り方についても留意すべきであり、そのことを学校側から中堅・若手の指導役に教示していくことが肝要です。

 

 

 

授業力向上への手当てと手立てに満ちた授業評価の活用を願いたい

学校を取り巻く環境として、教員の採用の困難さとコンプライアンスの重層化、その両面から今や授業評価の活用は「人事上の武器」であるべきではないと思います。では、学校内の資産(チカラ)を最大限に発揮させる為に、「授業評価」をどのように扱えばよいのでしょうか。

是非、個人としての力量のチェックにばかり拘るのではなく、個々のチカラが最適に発揮できる環境整備の材料としてお考えいただきたいと思います。

「教科任せの編成」でうまく回っている学校は良いのですが、慣例に縛られ、経験主義が横行し、健全で適正な編成が縦しんば保全されていない場合、新人/若手の適性を十分に活かすべく、活用頂ければ幸いです。

働き方改革は労務マター故、どうしても労働時間ばかりに注目が集まっていますが、本来「働き方」を考えるファクターはそれのみではありません。それぞれが充実した仕事を行い、結果として組織全体の教育力が最適化/最大のパフォーマンスを創出できるように、授業評価を効果的に活用頂きたいと考えております。

 

 

 

■この記事を書いた人

【授業評価の意義❸】まとめ:今一度確認しておきたい授業評価のフィードバック

こんにちは!IKISAKI情報局です。

株式会社エデュ・フィールド 代表 光延栄治氏にご協力いただき、三回シリーズにてお送りしております、「授業評価の意義」。

第三回目の今回は、「まとめ:今一度確認しておきたい授業評価のフィードバック」についてです。

 

まとめ:今一度確認しておきたい授業評価のフィードバック

前回の記事はこちら

 

最後にどうしても一つ、ご理解頂きたいことがあります。

 

評価する側もされる側も授業評価はあくまで「技能」の一部に過ぎず、教員の人格や人間性や職業適性を評価するものではないということです。評価される側の先生方には改善できる可能性があるからこそ、また、絶対的なものではないからこそ、評価に対して情緒的にならず、冷静に向き合って頂きたいと思うのです。

 

また、評価・分析などフィードバックに携わる方におかれましては、個人の結果に対しては優しく改善・支援を旨とし、集団の結果に対しては礼節に則った上で、厳しく問題提起と注意喚起にあたるべきかと存じます。

 

須らく「評価」に必要なものは、いずれの立場でも相手に対するリスペクトであるということをお願いしたいと思います。

 

【授業評価の意義❶】授業評価の抵抗感への対峙~護るべきもののプライオリティ~

【授業評価の意義❷】なぜ、今「嫌われてでも」授業診断が必要か~行う上での目的を明確に~

【授業評価の意義❸】まとめ:今一度確認しておきたい授業評価のフィードバック

 

■この記事を書いた人

【授業評価の意義❷】なぜ、今「嫌われてでも」授業診断が必要か~行う上での目的を明確に~

こんにちは!IKISAKI情報局です。

 

前回より、株式会社エデュ・フィールド 代表 光延栄治氏にご協力いただき3回に分けて更新してまいります「授業評価の意義」シリーズ。

 

第二回目の今回は、「なぜ、今「嫌われてでも」授業診断が必要か~行う上での目的を明確に~」についてです。

なぜ、今「嫌われてでも」授業診断が必要か~行う上での目的を明確に~

前回の記事はこちら

しかし、ICT教育やAL、そして観点別評価など新たな教育手法が取り沙汰されていく中、チョーク&トークを中心とした旧態依然とした授業手法だけでは、学びの品質を保全出来なくなりつつあります

 

そして、メディアの多様化の中で、保護者・生徒も目が肥えてきており、「この授業が自分の未来に何をもたらすか」ということについては、もはや小学生でも認識できる時代となりました。「授業はこうあるべきだ」という一方的でストイックな論理が通用しなくなっていることは生徒・保護者、さらには先生方自身も重々判っておられるのではないでしょうか。

 

その上で、「絶対的な授業評価」など存在し得ないというのも紛れもない真実で、学校文化はもとより、校種/学年/生徒の学力層など様々な要素を踏まえ、学校評価の設計と同様に「どのような改善を求めたいのか」という目的を設問作りの際に立てておかねばいけません。

 

例えば、

 

  • ・若手にはレディネスを中心とした項目
  • ・ベテランにはICTなど新たな教育技術

 

といった重点項目を設け、教員様それぞれの未来を支援することを目的として行うべきであり、単なる席次付けに陥らないように留意すべきと思われます。

【授業評価の意義❷】なぜ、今「嫌われてでも」授業診断が必要か~行う上での目的を明確に~

【授業評価の意義❸】まとめ:今一度確認しておきたい授業評価のフィードバック

 

■この記事を書いた人

【授業評価の意義❶】授業評価の抵抗感への対峙~護るべきもののプライオリティ~

こんにちは!IKISAKI情報局です。

今回より、株式会社エデュ・フィールド 代表 光延栄治氏にご協力いただき、「授業評価の意義」について三回シリーズにてお送りします。

 

生徒による授業評価アンケートは、なかなか導入に踏み切れないという声も多く聞きます。そのような現場の抵抗感は重々理解しつつも、授業評価を行うことの意義について改めて光延氏に語って頂きました。

試行錯誤しながら授業評価に取り組んでいらっしゃる学校にとっても、これから導入を検討される学校にとっても、参考になるところがある記事かと思います。

 

第一回目の今回は、「授業評価の抵抗感への対峙~護るべきもののプライオリティ~」についてです。

 

授業評価の抵抗感への対峙~護るべきもののプライオリティ~

前回、学校評価について書かせて頂きましたが、今回は「授業評価」についてです。

 

ただ、授業品質を評価することには教員様のほとんどが強い抵抗感を示されます。

「自分たちの授業の頑張りを一面的に評価されたくない」

「生徒アンケートなどただの人気投票に過ぎない」

 

などという声が大きいですが、確かに一部では「先生の授業を受けていてやる気が出る」など結果に対する改善の手掛かりが薄く、設問設計自体に問題あるのも事実で、徒に教員のモチベーションを下げているだけのケースも散見されます。それだけに授業評価の中身にも分析にも、そして表現にも「蓋然性(=そうであることの確からしさ)」が厳密に求められています

 

私自身、アンケート分析はもとより、実地で診て行う「授業診断」をはじめて、15年以上が過ぎようとしていますが、評価点・評価コメントの中身と同様に、その表現の仕方:先生方の矜持を損ねることなく、講評の場を形成することにこそ、力を尽くしております。

 

【授業評価の意義❶】授業評価の抵抗感への対峙~護るべきもののプライオリティ~

【授業評価の意義❷】なぜ、今「嫌われてでも」授業診断が必要か~行う上での目的を明確に~

【授業評価の意義❸】まとめ:今一度確認しておきたい授業評価のフィードバック

 

【学校評価の意義】シリーズを読む▶

 

■この記事を書いた人

授業評価とは?目的と効果を解説!

学校における授業内容についての総合的な評価です。

 

主に学生を対象として、各教員の授業に対する評価や意見を求めるアンケートを実施したり、授業観察を行うなどして、広く高等教育機関(大学など)で実施されています。

 

初等中等教育機関(小学校・中学校・高等学校など)においては、学校評価のような法令上の実施義務や設置者への報告義務といったものはありませんが、学校全体の授業力向上・教員個人の振り返りや授業改善にも非常に効果的だとして、生徒向けのアンケートを実施する学校は増加傾向にあります。